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【大菩薩嶺】単独登山は出会いの場・大菩薩嶺登山

奥秩父

[大菩薩嶺]奥秩父
2013.6.5
優雅なる稜線を越えて行く
大菩薩嶺登山

すっかり暖かくなり、観光シーズンの到来となりました。僕の出身地、千葉県の南房総にもリゾートホテルなどの宿泊施設が多く、学生の頃のアルバイトといえば、リゾートホテルでのアルバイトが定番となっていました。ホテルでアルバイトをしていた頃、先輩から聞いた話。

昔、ある旅館に老人が泊まりに来ました。旅館の従業員の接客態度が悪く、老人は大変、気分を害したそうです。
宿泊を終え、老人は帰り際に「絵を描いたので、この旅館に差し上げます」と言い残し、旅館を去りました。

その絵には「牛と2匹のキツネ」がとても上手に描かれていたそうです。

この絵を見た旅館の主人は、鑑定士に絵を見せ鑑定してもらいました。

「これは有名な画家の絵です。かなりの価値があるでしょう」

昨日、宿泊した老人は、有名な画家だったようです。
鑑定士は同時に

「この絵は価値のあるものだが、世間に出せば旅館の評判は悪くなる」

と言ったそうです。

牛と2匹のキツネの絵。

「モー、コン、コン もう、来ん、来ん」

この話を聞いた、学生時代の自分は「考えすぎじゃね・・」と心の中では思いつつ、その夏のアルバイトに励みましたとさ。

さて今回の旅は日本百名山に選定されている、大菩薩嶺です。

大菩薩嶺

山梨県甲州市と北都留群丹波山村にある奥秩父山塊の山。標高は2057m。日本百名山に選定されています。
大菩薩嶺という名前の由来は、源義光が合戦の前に軍神の加護を願い「八幡大菩薩」を唱えたとの言われがあるそうです。

日本百名山とは

小説家で、登山家でもあった深田久弥が、実際に登頂した、各地の山から選定した100座。山の品格、歴史、個性などが選定の基準となっている。

アクセス情報

中央自動車道、勝沼IC

上日川峠登山口に無料駐車場あり

おすすめポイント

都心からのアクセスよし

初心者からベテランまで楽しめる、バリエーションの多い登山道

日本百名山に選ばれている

登山口までの道のり

東京湾アクアライン「海ほたる」
 今回もアクアラインを使い、海を渡っての旅となります。この「海ほたる」は千葉県の木更津市と神奈川県の川崎市を結ぶ、「東京湾アクアライン」上にある、360℃海に囲まれた人工島です。
「海上に浮かぶ光」ということで「海ほたる」と名付けられたそうです。

「海ほたる」から見た川崎方面
沖合には、いくつものタンカー船が停泊していました。ここから先は海底トンネルとなっています。
海上に塔のようなものが浮かんでいますが、これは「風の塔」といい、海底トンネル内の換気としての役割や、火災時の避難に使われるそうです。
まさか千葉に「海底トンネル」が通るなんて、子どもの頃には想像もつかなかった代物です。

談合坂サービスエリア

談合坂サービスエリア
中央道の談合坂サービスエリアは、お土産売り場はもちろんのこと、レストランやカフェを併設しており、中央道においては、最大規模を誇るサービスエリアとなっています。戦国時代に甲斐の武田氏と、相模の北条氏が話し合いや和議を、この辺りでしたことが名前の由来となっているそうです。

「生姜焼き」と「うどん」という、メタボまっしぐらの禁断の組み合わせ。深夜のサービスエリアで食べる夕食は、なぜか美味しく感じます。

子どもの頃、家族旅行の帰りに立ち寄る、深夜のサービスエリアが大好きでした。今振りかえってみると、サービスエリアに止まっているトラックが出す排気ガスの匂いが、たまらなく好きだった気がします。

道の駅「甲斐大和」

道の駅「甲斐大和」
本日はここで車中泊。平日だったので、他の車は3台ほどしかいなかったのですが、国道沿いにあるため車の通りと出入りが結構あります。到着が深夜になってしまったので営業はしていませんでしたが、地元の野菜や果物の販売、農産物加工体験といった山梨名物の「ほうとう」作り体験などができるようです。

5:30に起床「朝一番で登ってやるぞ!」と気合十分でしたが、車のガソリンがなかった・・
山道は燃費がかかるので、登山口のある上日川峠まで行けるか心配です。国道を行ったり来たりし、ガソリンスタンドにて給油完了。上日川峠に向かいます。

登山開始!

ロッジ長兵衛
上日川登山口の近くには「ロッジ長兵衛」という山小屋があり、駐車場、トイレが完備されています。このモダンな造りの建物が目印となります。

駐車場付近から見た景色には雲海が広がっていました。まだ登山口ですが、ここからは標高の高さがうかがえます。

大菩薩嶺は初心者からベテランまで楽しめる、バリエーションの多い登山道があるのも人気の秘密となっています。
今回は、大菩薩峠に向かうルートに進みます。「熊出没注意」
 看板もあり、気を引き締めて向かいます。

登山道の始まりは、緩やかなブナの樹林帯を歩く心地よい道のりです。
木漏れ日の中からは小鳥のさえずりと、それをかき消すかのようにラジオの音が聞こえます。
すれ違った単独登山者はラジオをガンガンにかけていました。熊対策としては、十分すぎるほどの音量で・・

福ちゃん荘
ここ「福ちゃん荘」では、その昔、首相官邸を襲撃して獄中の仲間を開放しようとする作戦を企てた活動家が、大菩薩峠周辺で武装訓練をするため潜伏していたという、まるで映画のような事件の舞台となった場所です。
今では、そんな名残はなく、穏やかな時間が流れているような山荘です。

大菩薩さまに安全祈願を願います。

唐松尾根分岐点

唐松尾根分岐点
大菩薩峠の方へ向かいます。

現在は営業されていないのでしょうか。「富士見山荘」がありました。

しばらく歩くと沢がありました。近くまで降りれるようだったので行ってみると、とても冷たく綺麗な水でした。

岩の一面に敷き詰められた緑の苔は、まるで自然にできた絨毯のようです。

梅雨の合間に咲く花は、十分に水分を蓄え、元気よく咲いています。

介山荘

介山荘
両脇にお土産屋さんが立ち並ぶ、風情のある山小屋です。こちらで山バッジを4つ購入すると、ご主人に「こんなに買ってくれるの?」と言われました。

登山道の入り口にあった「熊出没注意」の話を聞くと、今は熊より鹿の方が多いようです。単独で歩くときは、やはりラジオの音を鳴らすか、歌を歌いながら歩くのが良いそうです。

熊鈴もラジオも持ち合わせていない自分は、北島三郎さんの「祭り」を歌いながらと思いましたが、実際に熊に出くわしたら「血祭」になってしまう・・

そんなことを考えながら休憩していると、石丸峠から登られたという、年配の方と出会いました。定年を迎え、百名山制覇に励んでいるそうです。なんともご立派です。

大菩薩峠

大菩薩峠
標高1897m
介山荘の
お土産屋さんの中を通り抜けると、そこはもう大菩薩峠です。ここからは大菩薩嶺のメインロードとなる、稜線が一望できます。

前を見れば、気持ちいい稜線、眼下には「大菩薩湖」と、最高のロケーションを感じながらの道のりです。
だた一つ気になるのが、後ろから迫ってくるおばちゃんの団体です。逃げるように先を急ぎます!

こんな感じで逃げるように先を急いでいきます。

賽の河原
いくつもの石が積み重ねられている賽の河原。避難小屋もありました。

賽の河原を過ぎ、「神部岩」まで来れば、標高は2000m地点となります。

大菩薩嶺山頂

大菩薩嶺到着
標高2057m
見ての通り木々に囲まれ景観はないです。なぜ百名山に選ばれたのか疑問に感じますが、これまでの道のりを振り返ると納得できます。

雷岩付近までもどり、甲府盆地が一望できる場所にて休憩です。コバエみたいなのが多かったけど、気にしない。だってここは山なのさ!

休憩を終えると、あの団体の姿が・・・「チッ、追いつかれたか!」と思いつつ、ハイカーらしく「こんにちはー」と声をかけると「この先はどうなの?」「写真撮ったならみせてよ!」などなど質問攻めに・・この広大な景色の解放感がそうさせるのか、それとも、おばちゃんたちの特性なのか・・
十数名のおばちゃんたちのマシンガントークに付き合った後、そそくさと下山開始です。

下山開始!

唐松尾根ルートでの下山です。ガレ場が続き、こちらから登ってくる登山者の方々は皆さん息を切らしていました。

熊笹に囲まれた道を下っていきます。

ここからは舗装された車道を歩きますが、登山靴で舗装された道を歩くのは、かったるいぜ・・

駐車場に到着し、無事に下山しました。ザックを降ろして登山靴を脱ぐ、この解放感もたまらなく好きです。

大菩薩の湯

大菩薩の湯
そして下山後の楽しみ、地元の温泉に入ること。「大菩薩の湯」にて登山の疲れを癒します。
「さっきはどーも」と声をかけられました。介山荘で会った百名山制覇を目指す、年配の登山者さんでした。
「いい湯でしたよ。ゆっくり入ってきて下さい」と優しい言葉をかけてくださいました。

「大菩薩の湯」の看板犬なのか、それとも飼い主が温泉に入っていて、ただ待たされている犬なのか分かりませんが、犬のお出迎えです。

よく分からないオブジェは「芸術は爆発だ!」という言葉が、よく似合います。
露天風呂、サウナ、ジェット風呂などあり快適に過ごせました。

登山を終えて

初めての単独登山となった大菩薩嶺は、全体的に危険個所はなく、初心者でも十分に楽しめる山だと思います。今回の登山を通じ、登山の楽しみ方は、人それぞれだと感じました。

ひたすらピークを目指す姿。みんなで、おしゃべりしながら楽しむ姿。定年後の生きがいとしてチャレンジしている姿。今回は単独登山だったからこそ、まわりの登山者の姿も感じることができたのかなぁ。と思います。ザックを背負うのと同じように、人それぞれの人生も背負っている。

そんな人生の息抜きに、それぞれの楽しみ方で山を楽しんでいるように思えました。

山バッジ

「大菩薩峠」「大菩薩嶺」の2種類のバッジを購入しました。どちらもピッケルと花をモチーフとしたデザインとなっています。1つの山で2つの山バッジを購入できるお得感があります。

 

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