[木曽駒ヶ岳・宝剣岳]中央アルプス
2013.10.17
これぞ自然の芸術・千畳敷カール!
台風一過の秋晴れの空を行く木曽駒ヶ岳・宝剣岳登山
2020年の東京オリンピックの開催まで、あと2年と迫りました。
先日、家族でオリンピックの話題になったとき、父親が前回の東京オリンピックの未使用の入場券やオリンピックの記念切手、記念硬貨などのコレクションを自慢してきました。
久々にコレクションを見た父親は。
記念硬貨は、もっとたくさんあったはずなのに・・
中学生のころ、父親の記念硬貨を、友人に売りさばき、こづかいに替えていた記憶がよみがえりました・・
しかも500円の記念硬貨を300円で売るという・・なんとも商売下手。
すかさず話題をかえ、自分が子供のころに集めていた「ビックリマンシール」や「キン肉マン消しゴム」などは、どこへやったのか?と聞きます。
すると父親は。
引っ越しの時に全部、燃やしたよ。
と発狂したいところですが・・
記念コインを売りさばいた、後ろめたさから、苦笑いでこらえます。
噂によれば「ビックリマンシール」や「キン肉マン消しゴム」は、物によってはプレミアがついているとか。
これで父親の記念コインを売りさばいた過去は、ビックリマンシールを燃やされたことでチャラとなるのが、世の中のルール。
過去をきっちりと清算したところで、気持ちよく登山へ出かけられます。
さて今回の旅は、登山を始めたころから一度は行ってみたかった千畳敷カール。
10年ぶりといわれる超大型台風が接近中のなか、中央アルプスの木曽駒ヶ岳を目指します!
木曽駒ヶ岳
標高は2956mで中央アルプスのなかで最高峰の山。古くから山岳信仰の山としても知られ、日本百名山、花の百名山にも選定されている。数ある駒ヶ岳のなかで「木曽駒」との愛称で親しまれています。
宝剣岳
標高2931m。木曽駒ヶ岳の南に位置し、東麓の千畳敷カールからは大きな岩峰として、中央アルプスの代表的な風景に挙げられています。
千畳敷カール
中央アルプスの宝剣岳の山腹に広がる、巨大なカール。氷河期に形成された半円形の窪地。畳を千枚、敷いたほどの広さがあると言われていることから、千畳敷と名付けられています。
アクセス情報
中央自動車道、駒ヶ根ICより3分
菅の台バスセンターに有料駐車場あり
おすすめポイント
日本百名山に選定されている
中央アルプスの最高峰の山
都心より日帰り登山が可能
登山口までの道のり
出発の当日。10年ぶりといわれる、超大型台風の襲来。
まったく、ついてないぜ・・
中央自動車道にて、とりあえず行けるところまで行ってみようと思います。
台風の中の外出は、もちろん危険でもありますが、ワクワク感もあります。
雨も激しさを増し「スパランド内藤」にて仮眠をとります。このスパは何度か利用している、お気に入りの場所です。
入浴をすませ、くつろいでいると、地元のおばちゃんらしき人に話しかけられました。
ここは弁当の持ち込みは、ダメだけど、果物の持ち込みは大丈夫なんだよ!
急にそんなことを言われても・・って感じでしたが。
「やっぱり山梨だから、果物の持ち込みは大目に見てくれるのかな?」なんて適当な返事を返す。
ウソか本当かは分かりませんが、基本的に食べ物の持ち込みはやめましょう。
朝、起きた頃には青空が広がり、台風一過の晴天に恵まれました!
再び、中央自動車道にのり出発です。
菅の台バスターミナル
菅の台バスターミナル
駒ヶ根出口より10分ほどで到着します。300台ほど駐車可能で、混雑時には臨時駐車場も利用できます。
駐車場の料金は1日、600円とリーズナブルな料金です。
到着した当日は台風の影響もあり、バスは運休でした。観光で来ていた人たちは、がっかりした様子。
思っていたより早く着いたので、辺りを探索してみます。大きな吊り橋が特徴の「こまくさ橋」
駒ヶ根高原の太田切川にかかる吊り橋で長さは146m。上流に木曽駒ヶ岳、下流に南アルプスの展望が望めます。
橋の下の川に降りれるようでした。台風の後だったので、かなりの激流。
早太郎温泉「こまくさの湯」
「早太郎温泉」はこの辺りで見かける温泉です。
早太郎温泉
この温泉の男湯には、アルプスの山々を紹介するオブジェのようなものがあるので、楽しみながら入浴できます。アルプスの山々を見ながら、ゆっくりする時間は至福のひと時でした。
また温泉施設内には食堂も併設されているので、名物のソースかつ丼や信州そばなど、食することができます。
名物のソースかつ丼や、信州そばには目もくれず、どこにでもあるファミレスにてハンバーグを食べます。食に関してはブレることのない、安定感のある自分たちです。
夕食のあとは、菅の台バスターセンターに戻り、車中泊です。
4:30起床。まだ、あたりは真っ暗です。
バス停で並んでいると、山頂の気温がマイナス4℃とのアナウンスが・・
車にもどり、ダウンジャケットを持ってくる人などで、一瞬、慌ただしくなりました。
6:15 始発のバスに乗り込みます。このあと臨時便も出ているようでした。
菅の台バスセンターからロープウェイ乗り場のある「しらび平」へと向かいます。
しらび平
しらび平ロープウェイ乗り場
次々と臨時便のバスも到着し、ロープウェイは満員状態になりました。
紅葉の時期は1時間待ちも、ざらにあるとか・・
千畳敷駅に到着です。
この時点で、標高は2612m。気温は2℃くらいでした。しらび平から千畳敷駅までは8分ほどで到着します。
千畳敷カール近くの売店に、スナック菓子の「カール」が売っていることは、言うまでもないこと。
登山開始!
今回選んだコースは、千畳敷カール~乗越浄土~中岳~木曽駒ヶ岳へと登る、スタンダードなコースです。
まず千畳敷駅に到着すると、寒さもぶっ飛ぶ絶景があります!アルプスの山々と、富士山がはっきりと見えます。
圧倒的な景色を堪能しながら「剣ヶ池」方面に向かいます。
整備された登山道には、霜や氷が張っていました。一緒にいた山ガールは、氷をバリバリ割りながら突き進んでいます。
ストレスたまってるの?
剣ヶ池も薄く、氷が張っています。
千畳敷カール
千畳敷カール
登山を始めたころ、雑誌で見たこの景色に感動し、いつか行ってみたい!と思っていた千畳敷カール。
あこがれの芸能人に逢ったような気分です!
年間、40万人も訪れる観光地なだけあって、登山道は整備された歩きやすい道のりです。
「警告」の看板がありました。
ここまではロープウェイを利用すれば、極端な話、サンダルでも来ることはできます。しかしここからは、それなりの登山装備が必要となってきます。
八丁坂
八丁坂
急な斜面をジグザグに登って行く道ですが、特に危険のある坂ではありません。石が転がっているので、浮石に注意が必要です。
振り返えれば、絵にかいたような雲海が広がっています。
多少、グラつきのある階段もありますが、慎重に登れば大丈夫です。
千畳敷カールを抜け、八丁坂を登りきれば乗越浄土です。
中岳と赤い屋根が特徴の天狗荘。まずは中岳を目指します。
しばらく進むと分岐点に。駒ヶ岳と宝剣岳の登山道に分かれます。
青い屋根が特徴の宝剣山荘は、昨日の台風の影響で屋根の一部が壊れてしまい改装中のようでした。
今回の駒ヶ岳登山の前日に、モンベルショップの店員さんから「宝剣岳は遭難者や滑落者が出ているので気を付けてください」と言われていたので、この時点では宝剣岳に登る気はありませんでした。
分岐点を中岳・駒ヶ岳方面へと向かいます。特に危険な道ではありませんが、山頂付近には岩場が続きます。
中岳山頂!
中岳山頂に到着。標高2925m。
大小さまざまな岩で積み上げられた山頂には、小さな祠がありました。
中岳山頂からは木曽駒ヶ岳が見えてきます。この時点では疲労感などはありません。ただ標高が3000mに近いので高山病などの症状には気を付けてください。
せっかく登った中岳を降り、駒ヶ岳へと向かいます。
駒ヶ岳の山頂付近も、岩場が続きます。
木曽駒ヶ岳山頂!
木曽駒ヶ岳山頂。標高2956m。
中央アルプス初登頂に感無量です!
山頂は広く、山岳信仰の名残から立派な神社が建っていました。木曽駒ヶ岳神社と伊那駒ヶ岳神社の2つの神社が建立されています。
御嶽山
いつかは登ってみた山です。
山頂に立ち、辺りを見渡すと、登山をやってて本当に良かったなあ。と思う瞬間です。
まだ昼前ですが、早めの食事をとります。
馬の背をバックに、しばし休憩。
駒ヶ岳の山頂から見る宝剣岳は圧倒的な存在感があります。まだ時間に余裕があるし、登ってみようか迷うところです。
よしっ!宝剣岳に登ってみよう!
駒ヶ岳を降りると頂上山荘があります。閉まっている様子でしたが、有料のトイレは利用できるようでした。
宝剣岳登山開始!
駒ヶ岳を降り、中岳を超えて、再び分岐点へと戻ります。
注意書きの看板があります。宝剣岳はその名の通り、空高くそびえる剣のような山。
ようするに、すごくエッジのきいた、ヤバ目の山。本来なら登る山は事前に調べるのですが、駒ヶ岳がメインだった今回の登山は、宝剣岳の情報をまったく持っていませんでした。不安もありましたが、気を引き締めて登って行きます。
岩場だらけの険しい道のりとなりそうです。
ほぼ垂直に近い鎖場もでてきますが、落ち着いて登れば大丈夫。
景色は抜群にいいけど、落ちたらそこは谷底です・・
眼下に見える千畳敷カールには雲がかかってきました。山頂付近は最大の難所のトラバースがあります。
宝剣岳山頂!
宝剣岳山頂。標高2931m。
たいした時間はかからなかったと思いますが、岩場や鎖場が続く難路です。あせらず落ち着いて登ればたどり着けます。
山頂には高さ3mほどの尖った巨石があり、1人が立つことのできる広さがあります。
無論、そこに立つ勇気など持ち合わせてはいない。山頂プレートは撮影用なのか、取り外して持つことができます。
「登ってしまったら降りなければならない」それが登山というもの。
来た道を引き返すのか、先へと進むのかとなります。事前に下調べをしていれば、もちろん楽な方を選んでいたはず。
今回は勢いで宝剣岳へと登ってしまったので、事前の情報が何もない・・一か八かで先へと進み極楽平への下山を選びます。
行く先を見ると、下山も厳しそうだなぁ・・どこをどう降りればいいのか分からないレベル。
下山開始!
ちょっと、ちょっと危ないよっ!
見ているこっちがハラハラします。
下山にビビりぎみの自分とは逆に、まだまだ余裕の山ガール。
「なんで下山してるのに垂直の岩を登るんだっ!」ってところもありますが、鎖もあるし足場もしっかりしているので落ち着いて行けば大丈夫。
本音を言えば、怖くて写真なんか撮ってる場合じゃないよっ!という感じでした。
下っているときは無我夢中でしたが、休憩をはさみ冷静になると「来た道を引き返せば良かった・・」と思ってしまう。
岩場を登るときの技術として「三点支持」という言葉を聞いたことがあります。ただし実践したことはない・・
初めての実践が、ものすごくエッジのきいた、ヤバ目の山「宝剣岳」であることに、後悔の念が・・
岩場がメインの宝剣岳には、トレッキングポールは邪魔でしかなかった。
三ノ沢分岐点と慰霊碑。ここまで来れば一安心です。
登山初心者には手ごわかったぜっ!宝剣岳・・
さっきまでビビっていた人が、このはしゃぎよう。
極楽平
これまでの下山の道のりを振り返ると、まるで極楽のようだと安堵することができます。
あとは整備された登山道を下って行くだけです。
しらび平駅が見えてきましたが、ロープウェイ待ちの列も見えました。
下山完了。今回の登山は、生きた心地がしなかった場所もありましたが、神社にて無事に下山できたことに感謝します。
昼過ぎになると、ガスがかかってきましたが、観光客でごった返していました。
最後の見納めになる、千畳敷カール。
帰るころにはロープウェイ乗り場のあたりは、真っ白になってしまいました。
下山後は、菅の台バスセンター近くの施設にて食事をとります。
「チキン原人」というメニューが気になり思わず注文してみると、なんてことのない骨付きのから揚げでした。
登山を終えて
台風一過の秋晴れの中、憧れの千畳敷カールの雄大さを間近で感じることができました。また木曽駒ヶ岳の山頂では、大パノラマを堪能でき、宝剣岳での恐怖感・・どれをとっても今シーズン最後の登山にふさわしいものとなりました。
そして勢いで登ってしまった宝剣岳。はっきりいって「勢いだけで登るのもじゃないなぁ」と感じました。
登山とは自然の領域に入るものです。無事に下山できたものの、それなりの下調べと準備は必要だったと反省点もありました。
今回の反省点を生かし、登山スキルを磨いて、来シーズンは雪山にもチャレンジしてみたいと思っています!
山バッジ
駒ヶ岳と宝剣岳の2種類の山バッジを購入。どちらもピッケルと花をモチーフとしたデザインです。駒ヶ岳のバッジは、これまで集めたバッジの中で1番カラフルな色合い。宝剣岳のバッチは、かわいらし鈴がついています。
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